
あじさいタウン1 (マイクロマガジン☆コミックス)
■【オススメ】バンドを始めた初期の、求めていたメンバーとの出会いや、気持ちの良い演奏、ファンや他のバンドとの交流、といったことから感じる喜びが綴られる、気持ちの良い一作。
練習スタジオに4人が集まるところから始まるバンドもの。ただしそこから時間は2年ほど巻き戻される。高校の屋上で出会った二人はバンドを組むことに。友人とやってはみたが、音楽への熱意の違いは歴然で、ずっと音楽と付き合っていくつもりの二人には物足りなかった。そこで彼らは、大学に進学すればきっと出会いの幅は広がる筈、と期待する。しかしそうは簡単にいかなかった。悶々とし続けたのち、ようやく本気でバンドメンバーを集めにかかる。演奏しながら募集しよう、といった公園で少女に出会い、口説くと、友人も一緒で良いかと問われる。それは男性か女性か?と聞くと、「どっちだろう?」の答え。あってみると、その人物は、宇宙人だった。・・・という隠し玉もあるが、こんな設定がなくても十分に楽しめる、バンド漫画である。
冒頭がスタジオをフィックスのカメラで捉え、そこに人物が出入りする様を描くように、基本的に静的な雰囲気であり、カメラワークもうるさくない、視点の動きが自然な作品である。それが基盤だからこそ、動きのある場面を描くと、それが一層際立ち、映える。
音楽ものを、音の出ない紙媒体で表現するには一工夫がいる。本作はそれを絵でどう描写するか、考えて描いている。楽しそうに、気持ちよさそうに、音が出ているのだろうなぁ、という絵になっていて、やはり演奏シーンにこうした工夫があってこそ、音楽ものの漫画は成立するのだなぁ、と思う。その一方で、WEBサイトに行くと、実際に楽曲が、結構な数置いてあってびっくり。その手作りメディアミックスな感じも面白いが、漫画単独でも十分成立しているところに魅力がある。
また、この話が良いところは、何かを始めたばかりの情熱と楽しさ、嬉しさが伝わってくることである。彼らはバンドに初めて真剣に取り組み、波長のあうメンバーに出会い、演奏する楽しみを噛み締め、発表する場も得て、評価も得て、仲間も広がっていく。自分でやろうと考え、行った好きなことで、着々とステップを上がっていく喜びは、初期だからこそ味わえる幸運である。
なお、バンドものの場合、それぞれは相応の力量をとりあえず持っていて、それを組み合わせることが初めてなだけなので、まったくの初心者がステップを上がっていく話ではない。そこが、読んでいてまだるっこしくならない利点かもしれない。
一見どうってこともないような作品なのだが、とても気に入った。
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評価:A
評価は、A:傑作、B:佳作、C:無印、D:薦めない
【データ】
木村リノ (きむらりの)
あじさいタウン
【 あじさいタウン1 (マイクロマガジン☆コミックス)
あじさいタウン Official Web Site
AJISAI TOWN
あじさいタウン 単行本特設サイト
【初出情報】(クレジットなし) 【発行元/発売元】マイクロマガジン社 【レーベル】マイクロマガジンコミックス 【発行日】2012(平成24)年1月31日初版発行 【定価】648円+税







































