【オススメ】 美代マチ子/ぶっきんぐ!!


ぶっきんぐ!!(1) (裏少年サンデーコミックス)

■【オススメ】美大卒の女の子が残念な書店でアルバイトを始める。 書店にもまだやれることがあるのかもしれない。

美大を出たがアートをやりたくて、でも仲の良かった同級生は 普通に就職。いつまでも夢見てたってしょうがないのよ、 と言われたヒロインは、自分が何者でもないことに直面したくなかった。 そんな彼女がシャーペンの芯を求めに出かけたところで、 ここにもあるかも、と立ち寄ったのが寂れた書店だった。


時代は2006年という設定。品揃えの悪い本屋、親から押し付けられて やる気のない店長。そこでヒロインは行きがかり上バイトすることになる。 小さい書店は取次も相手にしてくれないし配本もない、 という状態から、それでもヒロインはやる気を出して頑張ろうとする。 書店のポップで自分の美術力を発揮すればいいじゃないか、と。


「人の手が一回入るだけで見知らぬ本を手に取る可能性がぐんと上がる気がする」というヒロインのモノローグは、けだし名言。鍛金のしおりをおまけにつけたり、神保町の神田村で仕入れたり、地元出身の作家にサイン会をお願いしたり。 そんなエピソードを経つつ、店長もやる気になったところで巻またぎとなる。


書店が厳しいのは特徴がないからで、その店に行って買うべき理由が あれば生き残ることはできる、はず。実際頑張っている本屋もないではない。 ただその特徴が儲けに繋がっている必要はあるが。 自分の周りを見渡すと、昔から通ったことのある店では 駅前の一軒が健在。近隣の商店街に一店。ただし駅向こうの商店街は 長らく書店レスだったところ最近できた書店がすぐに閉店。 とはいえ、ちょっと足を伸ばした商店街では地元の書店が2,3店 営業中という、特殊な地域なのかもしれない。レコード屋はもうないし、 レンタルビデオ屋も消えたことを考えると、本屋はまだしぶといほうである。


ところで、この作品は書店がどうこうということもあるが、 自分は必要とされている、居場所がある、と思いたい人が ジタバタする話、というのが主軸である。 それがベースにあるから、読んでいて面白いのだろう。 しかしこれ、12年前の話、ということで、 この後どうなるのかな、というのはややどきどきではある。


【データ】
美代マチ子 (みよまちこ)
ぶっきんぐ!!
【初出情報】裏サンデー(2017年) 【発行元/発売元】小学館 (2018/1/19) 【レーベル】裏少年サンデーコミックス 【発行日】2018(平成30)年1月24日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ぶっきんぐ!!(1) (裏少年サンデーコミックス)
元書店員が描く心温まる小さな本屋さん物語
今から12年前、美大を卒業し人生迷走中の大國かの子は老舗小型書店・光林堂で働くことに。「一年後には街一番の本屋さんにしてみせます!」書店業界にとって激動の転換期となったスマホ登場前夜の2006年とはどんな年だったのか? とある小さな場所から、時代のうねりに元気と熱き想いで立ち向かう、骨太の痛快お仕事ドラマ!!“書店の力を信じてる。”



■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 森田るい/我らコンタクティ


我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)

■【オススメ】冷めているようで熱い話。勢いがあり読ませる。

マンガ大賞2018ノミネート 。ただし一巻完結本であり、 大賞受賞はないだろう。 賞なんてのは保守的なものなので。


会社というか社長にいらっとしているOLは会社やめようかなと 思う帰り道、小学校時代の同級生に声をかけられる。待ってた、 いつもより遅いね、ということでストーカーかと思うが、 工場が近所でいつも帰宅する姿が見えていたのだと。 そこで見せられたのが、彼の工場で実験しているロケットブースタ。 それに魅せられたヒロインは、カネになりそう、会社辞められるかな、 という気持ちが芽生える。


なんだそりゃ、全然同情も共感もできないよ、というヒロインの 自分中心な心情を描き、登場人物みなそんな感じ、 工作に明け暮れる人物は子供の夢そのままでおとなになったような 感じだが純粋とか純真とかいうわけでもない。 皆なんというか浮世離れした設定である。


宇宙で映画の上映会をしたい、というその夢にむけて、 過剰なスペックをもった人物が色々作り上げてしまい、 じゃあ打ち上げようか、という話。その夢にヒロインも 思い切り乗っかるのは、まぁ、自分も何か夢を見たかったからか。 人が楽しいのを妬む、という人物を周辺に用意しているが、 なるほど、ヒロインはそういう点で違うのね、 楽しみを見つけに行こうというタイプなのかと。 一方でロケット作っちゃう主人公は、自分で楽しみを作るタイプ。 そう考えると、これ、ネットでもよく見る人物関係の縮図なのね。


後半にかけてはスピード感あり面白い。ただし、そういう話で良いのだろうか? という感じもして、なので話の持っていきかたは疑問。でも、面白いのは 確か。なのでなかなか評価に困る。最後に後日談を入れない終わらせ方も見事。 なおこれを犯罪とするかというと、まともな国家の場合、こういう才能は取り込んでおくにこしたことはないと判断するはずなので、普通はおおごとにしない。背景に公安案件なければ特に。ある場合も泳がすか?まぁ、 法律未整備のうちに先行して色々やれる才能ある人が勝ち、 というのは世界共通。って、そういう話はどうでもいいですね。


【データ】
森田るい (もりたるい)
我らコンタクティ
【発行元/発売元】講談社 (2017/11/22) 【発行日】2017(平成29)年11月1日初版発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作)
■購入:
amazon→ 我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)
冴えない会社員をしているカナエは、小学校時代の同級生中平かずきと再会する。彼はナゼか一人でロケット開発をしていた。かずきの驚くべき目的を知り、カナエは思わず脱力!だけど、二人は一緒にロケット開発をすることに!カナエとかずきが小学校の時に見たUFOも絡み、思いもよらぬ方向へ物語は進む!いくつかの短編漫画をアフタヌーン誌上に発表し好評だった森田るい氏が満を持して放つ初長編漫画!



■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 田中靖規/サマータイムレンダ


サマータイムレンダ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

■【オススメ】久々に故郷の島に帰ってきた少年に 降りかかるサスペンス。きれいな絵柄に、中身のある話。 しかしこの展開は描き手も読み手も頭使うな・・・。

幼馴染が水着で語りかけてくる夢を見ていた少年。 起きがけに船で同乗していた向かいの見知らぬ女性に すがりついてしまう。島につけば、 妹同然の女の子が自転車でお迎えにくるが ブレーキがきかずにそのまま海へ。 転落する際に下着を思いっきり目撃してしまう。


そんな、少年誌らしいラッキースケベ展開で、 絵もかわいいというか綺麗だし、人間が少なく関係も密な 離島でのラブコメ展開か、と思ったが、その後の話は全く違った。


主人公の帰郷は家族同然で育った幼馴染が亡くなったため。 葬式に出るためだったが、遺体には不審な点があったという。 幼馴染の妹は、ドッペルゲンガーを見かけた、という話を持ち出す。 するとそこに通りすがりの人物が。影の病、というその島の風土病 について説明する。「影を見た者は死ぬ 影に殺されるんや」と。


主人公には守れなかった者がおり、そして守りたい者がいる。 それを襲おう、乗り代わろう、とする存在がある。 外部から島にやってきてその存在について探っている者もいる様子。 そして、 知っている島の人間そっくりの姿形で襲ってくるモノに、 主人公は頭を撃ち抜かれてしまう。


話のスタイルとしては、最近作では 堀尾省太「刻刻」 三部けい「僕だけがいない街」 が近い。 タイムリープというかループ系。 異世界的な存在も入れ込んでいるので前者のほうがより近いか。 主人公の記憶だけは累積されていく 『恋はデジャ・ブ』方式。考えてみればこういう設計でコメディにしたこの映画は凄いんだなと思う。


過去に起こったことを主人公は蓄積しながら、同じ日を繰り返す。 これは話が進むほど構成が重層的になり複雑化するということで、 作者さんは大変だろう。 今のところ非常に面白く興味深い。 続刊の展開を楽しみに待ちたい。


【データ】
田中靖規 (たなかやすき)
サマータイムレンダ
【発行元/発売元】集英社 (2018/2/2) 【レーベル】ジャンプ・コミックス+ 【発行日】2018(平成30)年発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ サマータイムレンダ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

幼馴染の潮が死んだ──。その報せを聞き、故郷の和歌山市・日都ケ島に帰ってきた慎平。家族との再会。滞りなく行われる葬儀。だが島にはある異変が…? ひと夏の離島サスペンス!!


■当サイトの著者他作品レビュー
田中靖規/鍵人−カギジン−
田中靖規/瞳のカトブレパス

■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 田中圭一/うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち


うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

■【オススメ】 うつとはどういものか、を知らない人に知らしめるための本。 そして、自身の思いを共有したいうつの人が読むための本。 そういう点では素晴らしい本である。

話題になっていた時点で読みつつ、 どう紹介したものか、と思ったまま時間がたってしまった。 今さら、ではあるが、周回遅れながらアップしておきたい。


著者自身が鬱病となり、その鬱とどう付合い、 どうトンネルを抜けたか、という体験を優しく、ポップに描いている。 さらに、同様にうつヌケした人たちの事例も紹介。 同じような人々に寄り添うような内容となっている。


が。Amazonのレビューを見ると、これは表現の世界で生きる 成功者たちが鬱に陥った話であって、もともと特になにもない 普通のひとが、わからぬうちに鬱に入ってしまった例がない、 参考にならない、特別な人たちの話だ、というコメントが いくつもあった。


いや、事例が成功者寄りなだけで、中身は普通の人とさほど 変わらないと思うのだが・・・。本編でも、自分を肯定するものが 身近にない人はどうしたら?の問に、「ここまでの取材で答えが出てるでしょ?」と返しつつも丁寧に

小さな達成感を得られる「なにか」を見つけよう
ささいなことでもいいので必要とされている役に立っていると実感できる瞬間を持とう!!
と書かれている。なのに本質には目がいかないまま外見の違いで、 これは私とは違う、私はやっぱり駄目なんだ、みたいな 話になってしまうのか・・・。ということで、 本当に鬱に悩んでいる人が救いを求めて読むものではないのかもしれない。 そのへんは著者の思いとは違うのだろう。著者は本に救われたので、 自身も描こうと思ったようだ。だが本当は、 鬱病の人が頼りにすべきは医者なので。 その医者があっているのか良い医者なのか、 という点はあるが、それについては本書掲載のエピソードが 参考になると思う。


鬱になるタイプは自分でなんとかしようとするタイプで、 何かあった場合に責任を自分に求め、結果自殺に向かうことが多い、 などと聞いた。逆に責任を他人に求めるタイプだと 他殺に向かうので鬱になることはないと。雑な話、かもしれないが、 いや、本質はそこなんだろう。 作中でも自分を好きになることを重視されており、 セルフエスティームか、 まぁそういう研修するところはビジネス系のコンサルにもあるよなぁ、 でもそれ宗教と同じだよなと。宗教や信仰は、 まぁ社会にとっては不幸な存在だが個人が勝手に信じる分には 有用なのでそれでいいのかもしれないが。 人は正しいと思うものを他人にも良かれと思って押し付けたくなるものなので。 あまりこの手の話を称揚したくはないのである。 本当はテクニカルに克服する手段があるとベターだと思うのだけれど。


本作は、人それぞれ、という立ち位置がしっかりと示されていて、 それでいて、軽くなる役目をもし果たせるのなら、 という思いも込められている。


【データ】
田中圭一 (たなかけいいち)
うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち
【発行元/発売元】 KADOKAWA (2017/1/19) 【発行日】2017(平成29)年1月19日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

パロディマンガの巨星がマジに描いた、明日は我が身のうつ病脱出コミック!
著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック!


■当サイトの著者他作品レビュー
田中圭一/みなりの青春
田中圭一/鬼堂龍太郎・その生き様

■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 多田基生/やわらかな鋭角


やわらかな鋭角 1【電子限定特典つき】 (it COMICS)

■【オススメ】 この作品が描くのは、信仰か、願いか、救いか。 どこまで踏み込んで描くつもりなのか。

週刊誌記者が追っているスクープは 大河俳優が新興宗教に入信しているというもの。 その現場に潜入すると、 かつて起こった大火災の生き残りの子が 御神体として崇められていることに気づくのだった。


このネタを深掘りしてまたスクープにしようと 考える記者。信者に接触すると、信じると神様が 願いを叶えてくれるのだといい、教えてくれた エピソードは実際にその信者の願ったとおりに 事態は進行していた。


そこに気味の悪さを感じながらも、 読者が求めるストーリーに合致している、 売れるとばかりに取材を進める主人公。 それに対して火災事故を目の当たりにした先輩記者が言う。 「他人のことを調べて書いて飯を食うには無痛でいることだ 他人の痛みに対して鈍くなくちゃいけない ・・・そして 自分の痛みにもだ」


実は主人公の記者も家族に問題を抱えている。 それに目をつぶってきたが、そうもいかない事態が起こる。 一方で、生き残りの御神体のほうにも新たなことが。 ・・・オカルト的な展開に進むのかな、これ。 というのが若干気になるところだが、 不安と痛みを描く内容は興味深い。


ジャーナリストはその仕事の果に 自殺するか狂うかくらいでないといけないのではないか。 そうした葛藤のない記者はすぐに筆を折るべきである。 と考える身としては、先輩記者の発言は腑に落ちた。 まぁでも商売としてのジャーナリストは そんなこと考えもしないのだろう。していたら ツイッターで脳天気にバカを晒したりはしないだろうから。


【データ】
多田基生
やわらかな鋭角
【発行元/発売元】KADOKAWA / アスキー・メディアワークス (2017/12/15) 【レーベル】it COMICS 【発行日】2017(平成29)年12月15日発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ やわらかな鋭角 1【電子限定特典つき】 (it COMICS)
十二年前に起きた、大規模な火災事故。 その事故で生き残った女子中学生が、ある宗教団体でご神体にされているという噂があった。 噂の真相を暴こうと週刊誌記者の渡辺は、宗教団体を調べていくうちに信者から、 どんな願いも叶えてくれる“神様”の話を聞く。 「神様にお願いしたんです、婚約者を殺してやりたいって――。」 信者の妄想だとあざ笑う渡辺。 しかし彼の運命の歯車は、すでに“神様”によって狂い始めていた…。 “神様”とは一体――…?


■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 夏緑、ちくやまきよし、杉本彩/しっぽの声


しっぽの声(1) (ビッグコミックス)

■【オススメ】ペットを飼う、ということを シビアに扱った硬派な作品、なのだが 漫画としては非常にこなれており読みやすい。

窓の割れた家から外へ出ようとする犬たち。 そんなシーンから始まる物語だが、 犬目線の話というわけではない。 アンモニア化した糞尿の匂いが道路まで漂ってくる件の家。 その家は息子が動物の通販サイトを運営しており、 しかし犬が売れなくなったことで劣悪な環境で 放置されていた。そんな息子をかばいつつも もう限界で実際は助けを求めたい母親。


そこに動物愛護団体の女性と連れだち、 獣医師がやってくる。しかし中には入れない。 そこへ、 不法侵入も気にせず入っていく男が現れる。 その人物は動物愛護団体の人間曰く、 「お金持ちのおばあさんを騙して手に入れたお金で、 動物保護シェルダーを騙った施設を運営して・・・ 保護した動物を売りさばいたり、寄付金を騙し取っているそうです!」


偽悪的な人物を主人公にして、シリアスな 題材をシビアに描いていく作品。 主人公は評判は悪いが、真摯に動物のことを考えている。 一方でエリート獣医師は理想を振りかざしつつ、 その実現に邁進している。坊っちゃんではあるが 行動力はあり、この両者のバディものという形で 話は進んでいく。


そこから浮かび上がるのは、ペットの現実。 飼育崩壊したアニマルホーダー、 保健所で殺処分される動物。 注射による安楽死のほうが人道的だという主張や、 野良猫を捕獲し不妊・去勢手術を行って地域猫と して管理していくTNRなど、理想のような話は 結局は対処療法にすぎず現実を直視していないということ。


作品の肝は、「地獄への道は、無責任な善意で舗装されている」 というメッセージ。これでもって話を描いていくとなれば、 読んでいて心地の悪くなる人もいるだろう。 しかし、そういう人ほど読むべき作品と思われる。


【データ】
原作=夏緑、作画=ちくやまきよし、協力=杉本彩
しっぽの声
【初出情報】ビッグコミックオリジナル(2017年) 【発行元/発売元】小学館 (2017/12/27) 【レーベル】ビッグ コミックス 【発行日】2018(平成30)年1月1日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ しっぽの声(1) (ビッグコミックス)
動物の悲鳴に耳を傾けて!!!
繁殖業者、生体展示販売、引き取り屋、殺処分………… ペット流通において、 その命はどのように扱われているのか。 誰かと共に生きたくて、 生まれてきただけのペットが 我々の想像を超える状況に置かれていることがある。 声なき声に、 力を与えるも 殺すも人間。 アニマルシェルターの所長を務める天原士狼と 獣医師の獅子神太一は厳然と立ち向かう――


■当サイトの著者他作品レビュー
【オススメ】 夏緑、菊田洋之/らせんの迷宮−遺伝子捜査−
夏緑、なもり/ぷいぷい!
【オススメ】 夏緑、祥寺はるか/風水学園
寺島優、ちくやまきよし/常夏食堂ナンクルナイサ

■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 夏原武、水野光博、大谷アキラ/正直不動産


正直不動産(1) (ビッグコミックス)

■【オススメ】やりての不動産営業マンが 呪いの影響で嘘をつけなくなる、という設定で 押し通していく話はユニーク。

女性をマンションに呼びつつ、次はもっと眺めの良いところに 引っ越す、と景気の良い話をする主人公。 羽振りの良い彼は、不動産会社の副課長というポジション。 トップセールスマンとして部長の座も目前。 そんな彼のセールストークは、本人曰く 嘘で塗り固めたもの。そう、夢を持っているらしい新卒新入社員を前に 言い放つ。


そんなやり手の営業マンが、地鎮祭を行う土地に 祠と石碑が残っているのに激怒、客がこれを見て テンションが下がる前になんとかしたい、と自らスコップで これを壊す。しかし、それ以来、彼に異変が。 嘘をつくことができなくなってしまうのだった。 しかも彼はもとから一言多い。なので、言わなくてもよい 真実の言葉が口から出てしまう。


騙す仕事で、嘘がつけなくなった者が生き残れるのか? というお話。不動産周りのお勉強をするには良い入り口となる 作品かもしれない。ちなみに、主人公の成績はやや後退。 ただし底辺まで落ちるというわけではない。 以前の自分のような凄腕の営業マンが新たに入社してきており、 その人物が抜群の成績を残すという対比。


その一方で、 主人公は新卒の子の指導役を任されてもおり、 理想と希望に燃える彼女とのバディものという面もある。 この新人を、単なる薄っぺらい理想ではなく、 自身の経験を踏まえた上でカスタマーファーストの 不動産取引をしたい、と考える人物としたことで 話に深さが加わった。実際、彼女は知識もあるし 知恵も絞り、長いスパンで考えて物事を提案する、 ということで主人公の横にいる単なる脇役ではなく、 主人公にも影響を及ぼす存在となりつつある。


仕事と物語と双方の面白さを描く作品。 ただ仕事や業界の素晴らしさを称揚する類い ではないので、他にはなかなか出てこない 稀有な存在となるだろう。 不動産業がすべて悪だとは思わないが、本来NGのはずの 両手取引が当たり前の世界ではこの本に言い返せる人は少ないのではないかと。 なお小説ではもっとシビアな実態を描いた本が いくつかありますよね。


ちなみに、不動産業なんて、それこそAIとか機械化とかで なくなってしまっていい仕事ではあるのだろう。 仲介業すべてがそもそもそういう性質。 買い手と売り手とがなかなか結びつかないものの仲介は 商売として残るだろうが、不動産はそうではないからねぇ。


【データ】
原案=夏原武、脚本=水野光博、大谷アキラ
正直不動産
【初出情報】ビッグコミック(2017年) 【発行元/発売元】小学館 (2017/12/27) 【レーベル】ビッグ コミックス 【発行日】2018(平成30)年1月1日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 正直不動産(1) (ビッグコミックス)
不動産業界の闇を曝け出す皮肉喜劇!!
営業に必要なこと以外、客に見せも教えもしないーー そんな不動産業界に前代未聞の爆弾が、いま炸裂する!! 登坂不動産のエース営業マン・永瀬財地は 嘘を厭わぬ口八丁で売り上げNO.1を叩き出す凄腕だった。 だが、とある地鎮祭で石碑を壊して以来、 嘘が上手くつけなくなってしまった…!! 千三つと言われる海千山千の不動産業界で かつての成績が一気に低下する中、 永瀬は、嘘が上手くつけない正直営業で苦戦するが…!? 不動産屋の裏側を全部ぶっちゃけちゃうニュー・ヒーロー、誕生。


■当サイトの著者他作品レビュー
大谷アキラ/ツール!
【オススメ】 藪野続久、大谷アキラ/LOST+BRAIN
五味一男、水野光博、田中克樹/超推脳KEI〜摩訶不思議事件ファイル〜
【オススメ】 黒丸、夏原武/新クロサギ 完結編
夏原武、盧美英 /ギャングスターズ
【オススメ】 夏原武、黒丸/新クロサギ
夏原武、石川雅楽/アカマクラ

■当サイトの月間オススメはこちらから

| 1/319PAGES | >>

search this site.

mobile

qrcode

selected entries

categories

profile





ブックオフオンライン

チケットぴあ

ENOTECA Online(ワイン通販 エノテカ・オンライン)

others

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM