三月えみ/雲一族と泥ガール


雲一族と泥ガール(1) (BE・LOVEコミックス)

■疑似家族ものの変形。 硬直化した資産家一族に吹き込む新しい風、という体か。

養子であることを知らされて育てられてきた少女。 父母の間には実子の弟妹も生まれ、その後母は死去。 男手ひとつで頑張ってきた父も急逝、という展開で、 突然弁護士が現れ、父の弟が著名ホテルグループの 社長と聞かされる。皆はそこへ迎えられるも、 家族は血の繋がりであるとして、つながりのないヒロインは 放逐されてしまう。


疑似家族もの漫画は多発されているが、 本作はさらに一捻り。ただ、その入れ子構造の先が セレブ一族というのは設定が昔風味。 しかもそのセレブの家庭が典型的な無機質具合。 まぁ、敵というか相手をフラットな固定キャラクターに設定して、 ヒロインを動的なラウンドキャラクターとする、 というのは定番ではあるのだが、話は作りやすく動かしやすいかわりに、 安易なものに見えてもしまう。


ボスキャラを冷血漢に設定した分、その家の娘たちは 一見クールも実はその家に生まれたがゆえに押し隠しているものがあり、 それがヒロインの活躍により徐々に見えてくる、 血の通った人物となっていく、という展開は見事。


著者の上手さはわかるが、話の本筋が、未成年は居場所がないので ツライよ、という話になってしまうところが 読んでいてしんどい。続刊発売済→雲一族と泥ガール(2) (BE・LOVEコミックス)


【データ】
三月えみ (みつきえみ)
雲一族と泥ガール
【発行元/発売元】講談社 (2017/10/13) 【レーベル】講談社コミックスBL 【発行日】2017(平成29)年10月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 雲一族と泥ガール(1) (BE・LOVEコミックス)
貧乏な4兄弟の長女・すずめ。ある日、父親が亡くなり、すずめたちはセレブな一族、七海家に引き取られることに。 しかし、養子だったすずめは「家族」として認められず、七海家でペットとして飼われることになってしまい!?


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小川亮/私人警察


私人警察(1) (マンガボックスコミックス)

■ストーカー逮捕専門の探偵というか元警察官の話。 主人公に背負わせた物語が大きすぎるので 話がどんどん膨張していくが、その方向だと 普通の警察ものと変わらなくなるような気がするのだが。

いわゆる地下アイドルの女の子。ストーカー被害を 警察に相談していたのだが、反応は芳しくなく。 そこで「ストーカー捕まえます」の看板を掲げ、 私人逮捕を繰り返す元警察官に依頼をする。


このストーカースイーパー業の元警察官が 主人公。彼がそうした仕事をするにあたり、 家族をストーカーに殺され、なので 恨みがあり、復讐のためにやっているのだ、 という設定を用意したのは丁寧ではあるが、 重すぎる。


レーベルは少年マガジンコミックスなのだが、 実際はマンガボックス作品のようで、 途中途中の場面が少年誌のそれではなく、 描写はさすがに抑制されているが 性的にも暴力的にも青年誌寄りなハードな代物。 というのもちょっとどうなのかと思いもする。


そして話は、主人公の設定を活かすべく、 異常な殺人者との対立話に。 あれ?そういう方向に進むのか。 内容としては面白いのだけれども、 結構よくあるタイプの話に収斂していってしまうような。


ストーカー掃除屋として飄々とした内容に したほうが新奇性があったような気がしますが。 続刊発売済→私人警察(2) (マンガボックスコミックス)


【データ】
小川亮 (おがわりょう)
私人警察
【発行元/発売元】講談社 (2017/10/6) 【レーベル】少年マガジンコミックス 【発行日】2017(平成29)年10月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→私人警察(1) (マンガボックスコミックス)
元警察官・麻木蓮二。妻子をストーカーに殺された経験から、ストーカー逮捕のみを目的に生きるようになる。目的遂行のためならどんな犠牲も構わない! 変態ストーカー専門の“警察を越えた警察”!! 常識破りの“ノンポリス”アクション!!


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大部慧史、小川亮/赤橙

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リカチ/昭和ファンファーレ


昭和ファンファーレ(1) (BE・LOVEコミックス)

■内容は古臭さもあるが盛りだくさんで読ませはする、 という点で韓国ドラマっぽい。

題名どおり昭和初期、トーキーの時代。 母親は後妻で連れ子という立ち場の女の子がヒロイン。 彼女が、母が前に漏らした本当の父親が トーキー絡みの仕事をしているということで、 会いたい、探して欲しい、という気持ちもあり 映画女優になることを夢見る話。


時代設定もあり絵柄もあわせてあえて古臭く、 話の内容も継子いじめ的な要素もあるなど 大映ドラマか韓国ものか、というような 代物で、ただし盛りだくさんではありサービス精神旺盛な作り。 そして盛りだくさんなためにそれぞれの要素は スピーディで軽めなので、読んでいて精神的にやられてしまうような 重さがない。なので良くも悪くも読みやすい。


勉強はできないようだが、地頭は良さそうで機転が利き、 声もよく歌も上手い様子。物怖じもしないので、面白がってくれる 大人や利用しようとする大人により少しつづ映画界に 入り込む。知り合った人が繋がって、というところも 漫画らしいが上手い設定。


話運びは上手いのだが、キャラクターに厚みを 感じず、物語が上滑りしている感はある。 ヒロインの行動原理にさほど理由がない、 という点は、物語を必要以上に重々しくせずに 良いところだと思うのだが、 本当の父親に会いたい、みたいな欲求が特に強いわけでもない、 という転がし方をしてしまったので、 ちょっとどこへ向かうべきか作品が見失ってしまった感がある。


いや、ヒロインの設定はそれでいいと思うのだが、 その場合、何か別の大きな軸は必要で、 それが、時代であるとか、映画界であるとか、何か 大きな流れを中軸に据えるべきだったのではないか。 なのに巻末にいままで出てもこなかった人物を 投下して、驚愕の展開が、みたいなフリで巻またぎするので、 読者は戸惑い迷子になってしまう。


残念、もうひと揉み、ふた揉みしてから 作り出すべきだったのではないか。続刊発売済→ 昭和ファンファーレ(2) (BE・LOVEコミックス)


【データ】
リカチ
昭和ファンファーレ
【発行元/発売元】講談社 (2017/10/13) 【レーベル】講談社コミックスBL 【発行日】2017(平成29)年10月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 昭和ファンファーレ(1) (BE・LOVEコミックス)

昭和初期、少女・小夜子は天性の歌声で人々を魅了する。自分の存在を「あの人」に知ってもらうため、いつかトーキ映画で歌いたいと願う。そんな少女に出会ったピアノの神童・浅海は小夜子の歌を「ヘタだ」と切り捨てて!? 少女の夢と恋が煌めく、歌姫誕生物語、開幕!!


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安藤なつみ/私たちはどうかしている


私たちはどうかしている(1) (BE・LOVEコミックス)

■老舗の和菓子屋を舞台にした 欲望と復讐の物語。ドロドロした話をスピード感を持って描く。

老舗の和菓子屋に住み込みで働くことになった母子。 一人息子ともなかよくなったが、 旦那さまが死亡、それに母が関与しているとされて 彼女たちは店を去った。


それから15年。子供だった女性は、和菓子職人に。 しかし職場に、母親が人殺しだ、というメールが送られ、 解雇される。そんな彼女に、見知らぬ男が持ってきたのは、 母からだという遺言。そして常連の依頼から、 結婚式の引き出物を賭けて、かつて住み込んでいた 和菓子屋と対決することにする。


スケール感の大きいような、その割に矮小化されているような、 読む分には面白いのだが評価するとなるとちと厳しくなる 類いの作品。母親の処遇がどうなったのか微妙であるし、 ヒロインに遺言届ける人物は誰って話であるし、 そしてその後の展開はもっと意味不明。 いきなり結婚を持ちかけられ、結婚式をぶち壊す。 これを、 スピーディな展開で強引に読ませていく。


しかしいまどき和菓子屋なんて舞台にしてどうするのか、 という思うのだが、作中でも経営うまくいっていないという ことは明言されてはいる。とはいえ探偵のいない金田一耕助もの という感じの雰囲気で、それは一体出口があるのか。


話がやや幼いことを気にせずに呑み込めるのなら、 楽しめるだろうサスペンスものである。すでに4巻まで発売済→私たちはどうかしている(4) (BE・LOVEコミックス)


【データ】
安藤なつみ
私たちはどうかしている
【発行元/発売元】講談社 (2017/4/13) 【レーベル】BE LOVE KC 【発行日】2017(平成29)年4月1日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★
■購入:
amazon→ 私たちはどうかしている(1) (BE・LOVEコミックス)
七桜は幼いころ、母が住み込みで働いていた老舗和菓子屋・光月庵で椿と出会う。しかしある事件が起き、殺人の容疑をかけられた七桜の母は逮捕され、七桜も追い出されてしまう。15年がたち、失意の七桜の前に現れた椿。二人は和菓子の腕を競って対決することに。七桜の人生を狂わせた椿。その憎い椿は、あろうことか七桜に自分との結婚を持ちかける。七桜をかつて幼なじみとだは気づいていない椿。思いもよらない言葉に七桜は!?


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押川剛、鈴木マサカズ /「子供を殺してください」という親たち


「子供を殺してください」という親たち 1巻 (バンチコミックス)

■内容は題名通り、しかしユニーク。 これがフィクションであるなら文句なしにオススメなのだが。

原作ありのコミカライズもの。精神的に壊れているが 適切な対応をとられていない子供(といっても既に 成人している人が殆ど)を、親の依頼で医療施設に 送り込むべく説得する、そんな特殊な移送というか 警備業務を担う人物のお話。


作画の鈴木マサカズ氏の飄々とした画風もあり コミカルにも見えるが内容はシリアス。 そんなシニカルな話だが、これがフィクションではなく、 原作者自身の仕事を描いたノンフィクションであると いうことで、驚く。いや、これ、実話ベースだと したら、どう消化すりゃいいんだ、読者は。


こう言ってはなんだが、内容は突き抜けていて面白い。 しかし何が主人公にその仕事をさせるのか、 がいまいちわからない。子と向き合わない親が問題なのだ、 的な話ではありつつも、主人公はその親からカネを いただくことで仕事にしているわけだろう、 それをこうしてオープンにするのか?うーん・・・。


フィクションとして読んでしまうとオススメなのだが、 いろいろもやっとする。いや、これも現実、ではあるんだろうが。 これまた巻またぎも上手いんだ・・・。続刊発売済 → 「子供を殺してください」という親たち 2巻 (バンチコミックス) 気になるけど、 うーん、買っていいものか。原作はこちら→ 「子供を殺してください」という親たち(新潮文庫)


【データ】
原作=押川剛、漫画=鈴木マサカズ
「子供を殺してください」という親たち
【発行元/発売元】新潮社 (2017/8/9) 【発行日】2017(平成29)年8月9日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 「子供を殺してください」という親たち 1巻 (バンチコミックス)

家族や周囲の教育圧力に潰れたエリートの息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男、母親を奴隷扱いし、ゴミに埋もれて生活する娘…。現代社会の裏側に潜む家族の闇と病理を抉り、その先に光を当てる――!! 様々なメディアで取り上げられた押川剛氏の衝撃のノンフィクションを鬼才・鈴木マサカズ氏の力で完全漫画化!


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弾正よしかげ/ぼくたち保育科高校1年生


ぼくたち保育科高校1年生 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

■学園コメディ系だが舞台が保育科高校というのがユニーク。

子供をあやすのが得意な男子。進学したのは、保育科のある高校。 そこは一クラス36名の内訳が女子30名、男子6名なのだった。


男女2名づつを中心にわちゃわちゃと描く学園コメディ、 という点ではよくあるタイプ。 男子2名が主役で、一方はルックスが良いがそのせいで ちやほやされるのが重荷というタイプ、 他方は普通のルックスもタッパが低くそれゆえ可愛がられるが 本人は当然のごとくその低身長がコンプレックス。 この二人の、特にルックスの良い側がはっちゃけるタイプで ボケ気味で、他方がそれにツッコミを入れつつ時にボケを 重ねるという感じの漫才が基本の作品。


そこに女子がナチュラルに絡んでくるところが リア充っぽい作品。ある種のハーレムもの漫画なのだが、 そこに、保育科という特殊要素をプラス。 授業風景も描きその設定をきちんと活かす。 世間における育児絡みの環境の不備といった話も かいつまんで取り上げるが、まぁ、風刺という感じではない。 あまり風刺を意識するとこの手の作品は途端に面白くなくなるので、 あくまでコメディベースで転がしていって欲しいところ。


【データ】
弾正よしかげ
ぼくたち保育科高校1年生
【初出情報】少年ジャンプ+(2017年) 【発行元/発売元】集英社 (2018/1/4) 【レーベル】ジャンプ・コミックス 【発行日】2017(平成29)年月日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ ぼくたち保育科高校1年生 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
低身長を気にする現代っ子・笹木は入学した保育科の圧倒的な男女比に尻込みしていた。そんな彼の前に、国会議員を目指すちょっと変わった男・鳥野が現れて…!? 保育科に通う男女の、恋に煌めき、学業に燃える青春保育科コメディ!!


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吉村明美/ふたりぼっち


ふたりぼっち(1) (フラワーコミックスα)

■ネコを拾ったらそこに 人まで憑いてきた。

主人公は女性。冬に一人散歩していると川から どんぶらこと猫が流れてきた。 あわてて救助し、動物病院で診てもらい、 警察にも届けたうえ家に連れ帰ると、 猫があくびすると同時に男性が現れるのだった。


猫に人間が憑依していて、猫が欠伸すると 現れる、というスタイルのお話。 変形同居もの。 ちなみに憑依している男性は幽霊のようなものだが、 主人公だけでなく誰の目にも見えるという設定。 冒頭の猫を引き取る際の描写も含めて実に丁寧。


しかし。これ、主人公としては、 ネコとは暮らしたいけど憑依している男性は邪魔、 という最もな話はあれど時間が経つにつれて 邪険な気持ちが薄れており、なんていうか、 話を前に進めようとするものがないような。 男性は存命でしかし意識がなく、 なので早く身体に戻りたい気持ちもあれど こちらもなんとなくぽわんとしてもおり。


雰囲気はよく、読ませるものの、 話の中心点はなんなんだろうな、 という感もあり。


【データ】
吉村明美 (よしむらあけみ)
ふたりぼっち
【初出情報】flowers(2017年) 【発行元/発売元】小学館 (2017/12/8) 【レーベル】flowersフラワーコミックスα 【発行日】2017(平成29)年12月13日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ ふたりぼっち(1) (フラワーコミックスα)
「夢の真昼」吉村明美の待望最新作第1巻!
「麒麟館グラフィティ」「薔薇のために」「夢の真昼」・・・ 数々の珠玉作をうみだした稀代のストーリーテラー・吉村明美の最新作がついに登場!!
家族と離れて独り暮らしをするやちよが、ある日助けた瀕死の猫。 なんとか助かったその猫と、楽しい2人(?)暮らしが始まると期待していたやちよが見たのは、パジャマ姿の男・雪生だった!
しかも雪生は、猫とセットだと言うのだが・・・実はとんでもない事情をはらんでいて・・・!?
おかしみの中に悲しみを湛えた、心に沁みる物語。必読の1巻です!!


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