【オススメ】 北川恵海、鈴木有布子/ちょっと今から仕事やめてくる


ちょっと今から仕事やめてくる (MFコミックス フラッパーシリーズ)

■【オススメ】パターン化したものの組み合わせだが、 ファンタジーに逃げないストーリーと、 辛気臭くならない絵との相乗効果で魅力的な一冊に。

主人公はまだ社会人一年生。入社してわかったのは 嘘ばっかりの会社説明会。サービス残業ばかり増え、 上司はパワハラ傾向あり。憂鬱な気持ちでホームの端で、 眠くなってきた、「このまま眠ったらホームに落ちるんだろうか/ そうしたら明日会社に行かなくてすむかな」 そう思ったところで、「ひさしぶりやな」と手を引っ張られた。


小学校以来だな、というその明るい顔をした人物に連れられて 一緒に飲み屋へ。誰だっけ?こんなやつだっけ?と思いつつ、 こんなに笑ったの就職してから初めてかも、というぐらい楽しく、 よくつるむようになる。


基本的に佳作は、小さなエピソードと大きなストーリーの両輪 で展開していく。本作の場合、主人公の働きぶりが一番小さなエピソード、 それを彼の勤める会社の同僚というやや外側の話があり、 その外側に彼に声をかけた人物の話がある。それぞれのパーツは類型的 であるのだが、組み合わせかたというか重層かげんが上手。 彼に声をかけた人物が何者なのか、というところに謎をかけ、 ファンタジーな話なのかと思わせつつ、そこに納得のいく理由をつけて 現実に着地させた仕掛けは見事である。


一方で労働に関する話も現実的なアドバイスが混ざっており面白い。 営業なら「ネクタイの色もっと明るく」 「なにかを説明するとき普段の1.5倍ゆっくり話せ」テレビのまともなニュース番組は これを踏襲しているが、大人は相手の話が理解できなくてももう一回とは 言い出せないから、という説明が素晴らしい。「相手をほめるチャンスがあれば なんでもほめろ」「こっちの話聞いてもらうために相手の話を聞く」などなど。


それで成績が上向きになったあとの会社のブラックぶりは、 サル山の中のことしか考えない猿という感じで、 でもこれって日本の世の中全体で、野党とか宗教とかマスコミとかネットとかで 見かける内部での序列をめぐる足の引っ張り合いに近い。 本作では主人公は決断し、結果的に彼が選ぶのは、ブラック企業云々以前に そういう働き方から遠い場所を切り開く道である。それもそれでブラックな 部分がありそうな職なのだがそれを言い出すときりがない、別に天国として 描かれるわけではないのでツッコむところではないのだろう。


良い対応をしてもらったら自身が別のひとにそうした対応をしていくことで おすそ分けを広げていく、というような思想もよろしく、そしてそれを ことさら強調しない作りに好感がもてた。オススメの一冊である。一巻完結なので コミカライズはだいぶ端折っているのかも。 原作はこちら→ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)


【データ】
原作=北川恵海(きたがわえみ)、 著者=鈴木有布子 (すずきゆふこ)
ちょっと今から仕事やめてくる
【発行元/発売元】KADOKAWA / メディアファクトリー (2017/4/22) 【レーベル】MFコミックス フラッパーシリーズ 【発行日】2017(平成29)年4月22日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→ちょっと今から仕事やめてくる (MFコミックス フラッパーシリーズ)

ブラック企業に勤め心身ともに疲弊した青山は、駅で線路に吸い込まれるように倒れかけたところを、「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。元・小学校の同級生という彼の人柄に次第に心を開く青山だが…!?


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